2011年11月26日土曜日

即題:春の思い出

今日の話し方教室は即題のことを書いておこう。
即題とは文字通り、その場でお題を与えられて即興でスピーチをする訓練を指す。

今回、僕に与えられたテーマは春の思い出。
いつもより考え込んでしまった。
浮かんでは消し、浮かんでは消し、オチがつくものがなかなか浮かばない。
30秒ほどその場でウンウン悩んだ挙げ句、出てきたのは大学の卒業式のことだった。

皆さん、改めましてこんにちは。○○です。
大学の卒業式のことです。私は○○の部活と、あと○○研究会というサークルに入っていまして、その後輩がお祝いに花束を持ってきてくれました。
で、私の人生の中で花束をもらうなんてことは初めてだったので、あのー、非常にこううれしかったんですね。で、それぞれのサークルから花束いただきまして、花を抱えながらゼミの同期に「それどうしたの?」って言われて、「いやー、後輩が持ってきてくれてさ」って別にいいのにっていうニュアンスで伝えたんですけど、でも本当、心の中ではものすごくうれしくて、あのー、本当、みんなに見せびらかしながら帰りたいぐらいうれしかったんですけど。まぁそれで帰る段になりまして、電車に乗って家に向かうとなったときにですね、その花束を忘れてきてしまったんですね、電車の中に。で、それ気づいたときは本当に心臓がバクバクしまして、もうすぐに電話して、それで「ここに忘れ物が溜まっているから取りに行ってください」というふうに言われて、それで取りに行ったんです。それで実際そこの係の人に言いまして、そこに連れて行かれましたら、花束がすごいたくさんあるんです。
であのー、自分がもらった花束がどれかわからなかったんです。それであのー、記憶に残っていたたぶんそうだろうというものを持って帰ったんですけど、今でもそれが本物だったのか自信がありません。以上、春の思い出でした。ありがとうございました。(2分8秒)

こうテープを起こしてみると、つたないなぁと思う。
主題がない。オチのあるドジなエピソードを話した、というところか。
まぁでも即題だから及第点。

スピーチの四条件は以下の通り。
①主題が明確であること
②例(例話)が鮮明に印象づけられること
③構成がしっかりしていること
④主題に深みがあること

オチより主題と、主題の深めに考えを向けるべきだったかもしれない。
浮かれすぎてはダメ。物より気持ちが大事(屁理屈)。もらってうれしかったくせに、その花束を思い出せないという矛盾に人間のおかしみを感じてもらう。……。

▼メモ
◎出だしは、朗読検定の課題だった『杜子春』の冒頭「ある春の日暮れです。」に似ていた。無意識に活かせたのだろうか。スムーズに入れた。
◎描写が足りない。ゆえにジェスチャーも少なく臨場感がない。
◎花束に色を加えるとイメージがさらに広がったかも。
◎笑いがとれた直後は間を入れるべきだった。

▼本日の学び
◎S藤さんの即題:年末の思い出より。「一度だけ、家族と年末を過ごさなかった年があった」というドラマ性を感じる切り出しが興味を引く。その後に続く、その年はこうこうこうする予定だった。ところが……。「ところが」が効いている。失敗談を語るフレームとして参考にできる。寂しい曲(オフコース「さよなら」)が流れていたというオチも秀逸。泣きっ面に蜂だけど、悲壮感がないどころか、むしろ楽しい思い出を聞いたように受けとれたのは、S藤さんの明るさがなせるワザ。

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