2012年7月23日月曜日

スピーチもスタートが命

スピーチを失敗する場合は、およそスタートで徴候がある。
いかにスムーズなスタートを切るか。
最近の関心の一つだ。
陸上や水泳のようなスポーツでは、スタートの失敗が取り返しがつかない状況を生む。
スピーチも同じである。スタートでつまづくと、その状況をしばらく引きずることになる。
始まってまもなく「えー」「あのー」「なんだっけ」と挟まれるスピーチは見苦しく、聞き手に対する印象も悪い。そこからのリカバー、理想のレールに乗せるのは至難の業である。

今日の教室は、テーブルスピーチがテーマだったが、同様である。
とはいえ、自分で会合を想定して行うテーブルスピーチの実習というのは、数ある実習の中でも、もっともやりにくさを覚えるものの一つだ。よほど集中力を発揮しないかぎり、想定した状態でスピーチを行うのは困難だ。
聞き手としてもイメージしづらい。
それに評価のポイントがわかりづらい。

胸を張り自信に満ちた表情で、ただちに話し始める。一人一人に話しかけるように目を配る。暗記しながらも棒読みにならず、話しかけるようにもっていく。わかっていても、それが本当に難しい。
好スタートを切るというのは、もっと意識すべき課題だろう。

2012年7月21日土曜日

手癖は不要か

ジェスチャーが苦手だった。
いや、今でも苦手である。

ただ練習を重ねている今となっては、手を極力動かさないでスピーチをするほうが難しくなってきた。いわゆる手癖。右手を前方で振るような手癖のあるほうが話すリズムがとりやすく、言葉もスムーズに出てくる。

スピーチのときはとにかく手を動かしたほうがいいという考えも耳にする。実は現状、この意見に賛成である。なぜか。自分が聞き手になったとき、内容と関係なくても身ぶり手ぶりのあるスピーチのほうが話に引き込まれるという実感があるからだ。

そんな中、今日の教室は話すときの態度がテーマだった。
態度というのは身ぶり、手ぶり、表情、視線、姿勢、服装、対人距離など、見た目がすべて含まれる。スピーチ実習でも話の中身よりも態度を重点的にチェックされる。

HR流では、話の内容と関係あるとき以外、手は前で重ねるか、両サイドに軽くたらす。ジェスチャーに慣れない頃はむしろこのほうがラクだった。

スピーチにおいてどちらがよいか、という問いは、実生活においてどちらが役に立つのか、と同じ意味だ。まだ明確な答えは出ないが、ジェスチャーしないというのは、普段の意識と逆。それゆえの学びがあった。

今回の実習は手ぶりをまったく使わないことを意識した。意識が終始できていた。それでわかったのは、必要なところではジェスチャーは自ずと出てしまうということ。しかしそれは、伝えたいという思いの強さなんだと思う。

いわゆる手癖は出ていなかったと思う。
これが理想なのだろうか。
手癖は不要なのだろうか。
いずれにしても答えを急がず、しばらく意識して考えていきたい。

2012年7月17日火曜日

タイマー係の意味

今回のTMCではタイマー係だった。
タイマー係とは、準備スピーチ、論評の時間をストップウォッチで計り、制限時間を三色のボードでスピーカーに知らせる役割だ。
例えば、5分から7分の制限時間であれば、5分で青のボード、中間の6分で黄色のボード、制限時間の7分を過ぎると赤いボードを立てる。制限時間を30秒すぎると、その赤いボードを倒す。すると、そのスピーチは投票圏外、事実上の失格となる。

タイマー係は二度目だったが、一度目は入会直後でこなすことに精一杯だった。
ただ今回は、思いがけない気づきがあった。
それは時間配分についてである。

予想以上にスピーカーたちがこのボードを確認していることに気づいた。
それぞれのスピーチにタイムオーバーをめぐる攻防、ドラマがあるのだ。

時間が押している場合の二者択一。
それは、言いたいことを最後まで言い切るか、途中で端折るか、である。

特に準備スピーチは、原稿を用意している場合、それを端折るのは至難の業というのが実感だ。
前段で予期せず時間をとられたとき、端折るルートが確保できていないのだろう。準備していたものを端折るのは難しい。端折ることまで準備していないと、時間をすぎても一本道でゴールに向かうしかない。話しているというより、話させられているというほうが近いだろうか。
そしてタイムオーバー。それはなんとなく雰囲気でわかるものだった。

準備スピーチでは端折るルートも確保しておく必要がある。

そして論評。
こちらは最後の30秒が明暗を分けるようだ。
論評者は準備スピーチ以上にボードをこまめに確認しているのがわかった。
会場のウケ具合では、ベスト論評者の候補は二人いるように思った。ただその前者は4秒のタイムアウト。最後まとめられたはずだが、残り30秒でもペースを変えない。あえて最後まで言いたいことを言い切った。論評相手のためともとれる行為、評価が分かれるだろう。
後者は、残り30秒でまとめに入り、最後は「とにかくお疲れさまでした」とらしくないまとめかたをした。ただそこに至る論評はウィットに富み、絶えず聴衆を楽しませた。

自分なら、是が非でも時間内にまとめたい。強引にでもまとめる図太さを持つべきだと思う。

役割によって見えてくるものが違う。
今回は、近い将来、論評者になるという問題意識がタイマー係の意味を変えたのだろう。

2012年7月14日土曜日

状況の意味を考える

iPhoneに入れた全データが消滅した。
しかも、保険であるはずのパソコンに取ったバックアップがエラーで戻らない。仕事はもちろん、スピーチに関するデータまで、3年間におよぶ蓄積が忽然と消えた。突然のことだった。

連休前の深夜だった。

何かの間違いだろう。パソコンの前で息が詰まる。深夜まで復元につとめるも空振りの連続。真っ白になった頭の中を埋めてゆく混乱。
翌朝からも、ひたすらパソコンの前で格闘した。softbankのiPhoneテクニカルサポートセンター、Appleのサポートセンターに電話。そして見放された。

まさか、どこかで復元できるだろう。そういう心持ちがあった。電話を切るたび、身体の髄から出てくるような熱で嫌な汗をかいた。食事も取らないまま、パソコンの前で思いつくあらゆる手段を試す。ワラにもすがる思いで掛けたデータ復旧会社からも無理の一言。
ようやく一息ついたときには窓の外は暗くなっていた。

スピーチ関連のあらゆる情報が入っていた。なかでもメモ、ボイスメモ機能はフル活用していた。上達のためのロードマップとその進捗状況、さらに読書メモ、アイデアメモ、これまでのスピーチタイトル、原稿……。HRでの、ほぼすべての講義録をおさめたボイスメモまで根こそぎ消えた。3年間におよぶ蓄積が水泡に帰した。

パソコンの前を離れた。外に出た。
状況を整理しようと思ったのだ。

宵闇をあてどなく歩く。すると頭に浮かんできたのは意外な結論だった。

これってそこまで大変な状況だろうか。
確かに、iPhoneがないと何もできないという中毒にも似た状況があったのは否定できない。蓄積してきたデータが消えてしまった今、利便性を欠くことになりそうだ。一方で、ヘンな解放感を覚えていて、これは何だろうと思う。

間違いないのは、三年間も蓄積したデータが消えたというのはターニングポイントになり得るということ。消えたのはデータだけである。経験ではない。このiPhoneデータ消去という“事件”が、誕生日の3日前に起きたことの意味を今は考えよう。

良くも悪くも状況の意味を考えるようになったのは、スピーチを学びはじめた副産物なんだから。

2012年7月9日月曜日

【メモ】All About プレゼンテーションの基本

▼All About プレゼンテーションの基本
http://allabout.co.jp/gm/gl/16486/

プレゼンテーションは、相手にどのように伝えるかが重要です。構成要素や資料の作り方、事前に準備しておきたいことなどを解説します。


プレゼンは質問で始めよう

プレゼントいえば結論が先、というセオリーがある。
『コクヨの1分間プレゼンテーション』が提唱するプレゼンが他と違うのは、冒頭で結論を話す前に疑問を持ってくることだ。
ざっくり、次のような時間配分。

疑問(15秒)→結論(10秒)→理由(35秒)

例えば、通常のプレゼンの場合では次のように結論から入る。
「プレゼンを上達させたいなら『1分間プレゼンテーション』だけを繰り返し練習しよう、という提案をします」

しかし、コクヨのプレゼンでは、結論を話す前に「プレゼンがうまくなる近道を知っていますか?」という疑問を投げかける。

序論の目的は、聴衆に興味を引きつけることだ。
確かに結論から入るのはわかりやすいが、そっけない感じもする。
そこで疑問から入る。

(疑問)プレゼンがうまくなる近道を知っていますか?
(結論)今回はその方法として『1分間プレゼンテーション』だけを繰り返し練習しよう、という提案をします。
(理由)この方法は毎日の仕事でも練習できて、プレゼンの大事なポイントが集中的に鍛えられます。

このようなアウトラインになる。
これを掘り下げていくことで1分間プレゼンができあがる。

さてさて、今日のC教室で発表したかったのは、この話をきっかけにスピーチの序論の入り方を吟味するという内容である。タイトルは、プレゼンは質問で始めよう。しかし今回もラストの5分しか時間をもらえず、アウトラインを紹介するだけで終わった。まぁそういうことも想定して準備するべきだった。
パソコンもうまく立ち上がらず、あたふたしてしまった。

消化不良だが、不測の事態が起きる実践を想定すれば、さまざまな課題が見つかった有意義な時間だった。

▼プレゼン課題
◎あらゆる事態を想定する。
◎時間に余裕をもって準備を終わらせる。

2012年7月7日土曜日

恥をかくということ

今日の勉強会は途中参加だったが、
チャレンジ精神のない司会を久しぶりに見た気がする。

会話が一区切りつき沈黙が流れる。司会者に集まる視線。
司会者はうつむき押し黙っている。
進行を求める視線を感じながらも、誰かが声をかけるのをじっと待っている。
受け身宣言。

別に司会者に文句を言いたいわけではない。
なぜならこの状況から学ぶことはとても多いから。
まずもって、以前の自分を見ているようだった。
肥大化した自尊心。それを“練習”の場でも手放すことができない。

いや、今の自分でさえ状況によっては受け身である。
積極的に自分が動くべきところで、踏み込めずに誰かに身を委ねてしまうこと、多い。

そんな自分を壊すために、まずはこの場所を活かそう。
そして、日常に活かさなければまったく意味がない。
勉強会が恥をかく場であることを再認識した。
恥を「かける」場ではなく、恥を「かく」場であるということ。
消極ゆえの恥より、積極ゆえの恥をかこうじゃないか。

2012年7月4日水曜日

朗読、やっと始動

朗読の練習に最適なテキストを見つけた。

『何度も読みたい広告コピー』

ボディコピーを中心にしたキャッチコピーの傑作選である。
だいぶ以前からボディコピーには興味があった。

膨大な時間を注ぎ、磨きをかけられた短文。
極限まで磨かれたコピーよりも、情緒があるというか、
黙読していても心に染みるようなストーリーが多いのだ。

朗読と言えば、表現よみの影響もあり、当初は文学にこだわっていた。
特に太宰の独白調の短編が最適だと思っていた。
ただ、ずっとやらずに過ごしてきたのは、ハードルの高さを感じていたのかもしれない。

広告を読む行為には正直抵抗もあるが、表現として向き合えば選び抜かれた良質な言葉ばかり。コピーライターって偉大だ。
それに前述の本であればキャッチコピーの勉強にもなるだろう。
一石二鳥ねらいで『何度も読みたい広告コピー』を朗読の課題テキストにするつもりだ。

2012年7月3日火曜日

テーマはチャレンジ

渋谷のTMCが新しい期に入った。
例会に先立ち新会長の挨拶があった。
その中で二点印象深い内容があったので書き残したい。

まずは今期のテーマが「チャレンジ」になったこと。
TMCはあくまで学びの場である。
仕事場、家庭、地域など、それぞれの舞台で活かしてこそ、学びに意味がある。
TMCで臆する必要はない。

もう一つはやる気さえあれば自分でどれだけでもハードルを上げられるということ。
前回メモを見ずに論評を行ったZ徳さんが引き合いに出されていた。

まったくその通りだと思う。
シンプルだけどよいテーマだと思う。
果敢に挑戦しよう。
失敗も恐れないし、成功も恐れない。


2012年7月2日月曜日

原稿準備をしないメリット

C教室の最後の10分、「真珠の耳飾りの少女の楽しみ方」というプレゼン発表をした。
パワポで資料は作ったものの、得意の美術ネタということで特に原稿の準備をせずに挑戦した。

録画したビデオで振り返る。

準備をしないメリットはやはり臨場感だと思った。
聴衆に伝えようという意識が強い。ジェスチャーが大きく、声も生き生きしている。

デメリットは話しておきたい情報が抜けることだ。
忘れるぐらいなんだから大したことない情報なんだよ、とは言われるが、そんなことはないな。
けっこう致命的な情報が抜けてしまっている。

そしてやはり冗語が多い。
「あのー」「えー」「まっ」時間制限も手伝い焦りがあった。
リアルな時間制限があるのは練習としてはよさそうだ。

おおよそウケる部分がわかった。
ちょうど「真珠の耳飾りの少女」が来日している時期だ。
これをTMCの準備スピーチにできないか検討してみよう。

2012年7月1日日曜日

7月のうちにやるべきこと

これまでの課題を振り返ってみると、できていないことが予想以上に多い。

◎朗読を楽しむ
文章を読んでいてつっかえることが未だに多い。朗読で克服を目指す。

◎キャッチコピーの研究
言葉に対する感性を身につける。

◎ジェスチャーの練習
キレとパターン。両手を使い慣れる。TMC、TEDなど、見よう見まねで実践あるのみ。

◎小泉進次郎のシャドーイング
デリバリースキルを身につける。

◎HRテキストの再構成
具体例と話材収集を兼ねる。

◎自己分析
自分史を作る。

◎改善チェックシートの作成
3分スピーチ用。レビューとして毎回の教室で使えるものを作る。

特に「朗読」と「コピー」の強化月間にしたい。
この二つの訓練は毎日必ず行う。

今月あえて取り組まない課題は、
◎ユーモアの研究
◎ボキャブラリの強化
◎スピーチのストック作り

2012年6月30日土曜日

一年半

本格的に話し方を学び始めて一年半が経った。
2011年1月、HRのN教室に始まり、19教室、C教室を受講、6月にはM教室も追加した。四つの教室を掛けもちで通った。7月からはC教室が週イチになり、N教室の自主勉強会を含めれば、月12日を話し方に捧げたことになった。

教室通い前年は、話し方において試練の年だった。

2010年6月には、新刊トークイベントの前説で参加者30名を前にあがりで頭が真っ白になった。二の句が出ない。沈黙の中、永遠のような数秒が続いた。客席に紛れたスタッフは俯いたまま、目をあわせようともしない。助け舟もない絶望的な状況を味わった。

2010月9には、友人の結婚式の二次会で共通の知人と二人で司会をした。メモを棒読みしながらようやく話す一方で、知人の滑らかな司会ぶりは「プロみたい」と大絶賛された。二次会は成功したが、どこかむなしい気持ちが残った。

話し方というのは経験をつめば自然に上手くなるものだと思っていた。
前述の経験からの学びは、そうではないことをようやく認められたことだろう。
ただ、それまでも手をこまねいていたわけではなく、何度か短期のレッスンに通ったことはあった。ただ、短期ではあまり効果を実感できない上、料金が高かった。

それでも今一度探してみた。そしてウェブ検索で見つけたのがN教室だった。
N教室の存在は大きかった。同時期に入ったメンバーが多く、モチベーションを維持させてくれる仲間に恵まれた。N教室では講義後にお茶会もあり、レビューを拾えた。

ボイトレのあるC教室も大事な場所になった。
中でもK口さんの存在は、その後、表現よみ、ボイトレへの興味に繋がった。

教室通いを始めた一年も、大勢の前で話す機会が何度かあった。

2011年2月には、新刊トークイベントにて参加者40名のなかで前説後説を行った。話し方を学び初めてはいたものの、一ヶ月強。それでもテンションを上げて「できる、できる」と自分を奮い立たせた。前回と同じスタッフがいる中で、前と違うところを見せようという意地が芽生えた。がむしゃらにやりきった。

2011年9月には、新刊トークイベントで司会を手堅くこなした。北海道出張から帰ったばかり。参加者が集まらず直前まで声をかけ続けてほとんど司会の準備ができないなかで、やりきれたのは大きい。参加者の半数が知人というなかで反応を見ながら話せたのは自信になった。

その一週間後には、友人の結婚式で友人スピーチを行った。丸暗記。以前いっしょに司会をやって絶賛された友人である。声を張って、アイコンタクトもとれた。達成感はあったが、もっとできたという欲が出たのは不思議だった。もっと上手くなりたい。そう思ったのだ。


今年に入っての挑戦は声の質を高めることだった。声の大きさ、歯切れ、滑舌。
1月から月イチの活弁教室の門を叩いた。残念ながら三ヶ月で止まったが、半年が経ち今一度、通い直そうと思っている。

4月からは話し方専門のボイトレのレッスンにも通い始めた。週二回、30分。毎回が新鮮、着実に成果は出ている。本物のプロの指摘は、自分がC教室のボイトレを過信していたことに気づかせてくれた。ただ、ボイトレのレッスンで学んだことをC教室でも活かせれば、相乗効果を期待できる。

そしてTMC。スピーチの手練れが多い中、準備スピーチをこなすことで適切な改善点を指摘してもらっている。細かい筋肉まで鍛えられるような感覚。話し方の応用編といった塩梅。HRで基礎を学んでから受講したメリットをとても感じている。

HRはN教室、C教室で落ち着いてきた。
新しく挑戦したいこともあるが、2年目の後半は、今いるそれぞれの場所でレベルアップを目指していこう。

2012年6月29日金曜日

表情筋を上げる訓練

ボイトレのレッスンでいわれた表情筋を上げる訓練を、折りを見てやっている。
トイレの鏡の前で、一人のエレベーターの中で、はたまた通勤途中に人がいないときを狙って。

この訓練の狙いは声を響かせるためだ。
少し高い声で眉間や鼻を振動させるのがポイントらしい。
今のところまだ効果を実感できない。

まぁ先生は信用できる人だし、トレーイング方法もしっかり確立されている。
とにかく地道だけどクセになるまでやっていこう。
こうやって課題を一つ一つクリアしていくしかないのだから。

2012年6月28日木曜日

好奇心に振り回されない

K口さんの実習スピーチが印象に残っている。
テーマは「ことわざ・格言」について。選んだ格言はニーチェの「好奇心に振り回されない」だった。以下のように補足が続いた。


好奇心は、
自分の能力を発火させるためには
たいせつだが、
世界のすべてを見聞できるほど
人生は長くは続かない。


ベストセラー『超訳 ニーチェの言葉』に載っていたフレーズらしい。

この格言は、僕自身が「多趣味ですね」と言われることを素直に喜べないどころか、
むしろ後ろ暗い気持ちになってしまう理由を端的に表していると思った。

「本当にやりたいことがわかってないんですね」と言われているように解釈してしまうからだ。いや、解釈してしまうというより、そう思っているんだろう。

上京してからのすべては「本の編集」という仕事に繋げる意識があった。
写真、キャッチコピー、編集ライター、いろんな教室に通い、いろんな本を読んだ。
メディアリテラシーを高めるための講座通いも「本の編集」に活かせるという思いがあった。

本の編集から解き放たれた今、「本にするならどうするだろう」という思考法はそのままに、とにかく「話し方の勉強」に力を入れよう。
何をするにも話力を高めることを優先的に考えよう。具体的な何かが見えているわけではないけど、もう少し進んでみよう。

ずっと時間に追われるように生きてきたが、ここ最近、時間がないという意識は強まるばかりだ。書店で本を買うときも、ウェブで情報を得るときも、今は興味の幅を広げすぎないようにしたい。

確かに、将来的に何が幸いするのか、現時点ではわからない。
それに知っていないより知っているほうがいい。
でも、時間がない。
好奇心にまかせて情報を仕入れすぎないこと。
しかしこの言葉、多趣味なK口さんから聞くことになるとはね。

2012年6月27日水曜日

スピーチのときの姿勢

最近、スピーチのときに姿勢が悪くて自信がなく見えるという指摘を立て続けにもらった。
C教室でのプレゼン、立川TMCでの準備スピーチに対する論評、そしてボイトレである。

自分では気づかなかったが、どうやら背中を丸めているらしい。
姿勢について、気にはなっていた。
それだけに、いつも話す直前までは意識しているはずだが、話しているうちに姿勢が崩れているのだろう。

どうすればいいか?
ボイトレの先生のアドバイスは意外なものだった。

もう少しアゴをあげてみること。
要は壁に背中をつけたとき、後頭部も壁つけた状態をキープする姿勢。
アゴを上げることで偉そうに見えないか心配だったが、どうも杞憂らしい。
実際どうかは聞き手の反応を見ないといけない。
ただ、先入観というのは何気ないところにある。
話し方の勉強はそれが覆される経験が多い。

少し意識してやってみよう。
7月31日のTMC準備スピーチには自信に満ちた姿勢で臨みたいものだ。

2012年6月26日火曜日

表情にメリハリを

立川TMCでやったスピーチの動画が送られてきた。
こういうサポート、素晴らしいな。
早速見てみると、終始、半笑いで話している自分……。
歯を見せている。

思いつく理由はボイトレ。
声をこもらせないために、上唇を引き上げ歯を見せるという訓練が無意識化しているように思う。

先日、スピーチの改善点として、表情のトーンにメリハリと言われた理由がようやくわかった。
確かに話の内容と表情があっていない。

これは気づかなかった。
動画は偉大だ。
自分で撮ったものも、ちゃんとパソコンの大きな画面でチェックすべきだな。

2012年6月25日月曜日

あがり症克服のヒント

6月最後のシビック教室だった。
TMC用のスピーチ練習のため、しばらくやっていなかったプレゼン練習を行った。
5月以来だろうか。今回の発表テーマは「あがり症克服のヒント」にした。

E本さんの期待に応えて、
新田祥子書『あがらないスピーチ教室』から不安感情をなくすための方法をまとめた。

プレゼン内容は以下の通り。
「あがり」が本能であるのに対し、「あがり症」は人前であがることを何度も経験することで“学習”した条件反射である。条件反射ということは、あがらずに話すことを、繰り返す学習することで克服できる。そのためには、不安感情をなくす、情報整理力を高める、発話スキルを高める、というセルフマネジメントが必要。後者二つ、つまり、ストラクチャー、デリバリースキルは教室で習う。そこで、ここでは前者の不安感情をなくすヒントを紹介する。
あがり症の人は、自分や物事のマイナス面に注目してしまう認知(受け止め方や考え方)の構えに問題がある、いわゆる不安体質になっている。実はそれがあがり症の本当の問題点。その元にある不安感情をなくす方法をメインに紹介。
◎拡大解釈をやめる。
◎思考パターンを変える。
◎表情や態度を変える。
そうやって好感情が生まれたら、あとは異なる場所、異なる人の前で場数をこなす。それによって初めてあがり症から解放されたことになる。ただ場数をこなすだけでは意味がない、というオチ。

教室の終了間際10分強の時間だったが意外に落ち着いてできた。

以下、少しずつ改善できてきたことを列挙する。
◎聞き手と対話するような感覚が身についてきた。
→焦点の合わないアイコンタクトではなく、一歩踏み込んだアイコンタクトを意識。

◎間を意識できるようになってきた。
→TMCの手練れたちの話し方をイメージ。冗語を間にシフトする意識を高めた。

◎100パーセントを伝えようとするのを止めた。
→暗記に頼らずポイントだけは明確に伝えることに意識をチェンジできた。Z徳さんの助言を早速採用。

◎胸を張って話すことを心掛けた。
姿勢を指摘してくれるK口さんの存在が大きい。

次の課題はさらに間の効用を追求すること、動きを出して引きつけること。
他のメンバーが準備をしてこない中、プレゼンの練習を続けられるのは大きい。

2012年6月19日火曜日

TMC_スピーチの構成【備忘】

外は台風の中、TMC二度目の準備スピーチを行った。
プロジェクト内容は「スピーチの構成」である。
前回から一ヶ月ほど空いていた。
この間、足繁くカラオケボックスに通った。
前回同様、原稿を丸暗記するためである
しかし結果は二度、本番で言葉が出てこないで詰まってしまった。
何が起きたのだろう。
検証してみる必要がある。

滑り出しは順調だった。
「今月6月といえば、ジューンブライド」
最初の言葉を発しながら演台の前に歩き出す。
コの字型のテーブル配置で、真横にも人が座っているポジション。

演台の前に出るのはまだ早い、とも思った。
なぜか。緊張の圧力でセリフが飛ぶリスクを感じていた。
一度目の準備スピーチではその状況を恐れて、前に出ないどころか、アイコンタクトさえ意識的にしなかったのだから。
しかし、今回はファイルという小道具を使う必要があった。
そうなると演台の後ろでは明らかに不自然。チャレンジするしかなかった。

一文一文を確かめるように言葉を発する。
「内容を三つにわけて具体的に説明します」
ファイルを取り出し本論に移行する。
ここまでくれば流れでいける気がしていた。

ところが、笑いをとりにいった箇所で、言葉に詰まった。
振り返ると、それは聞き手に問いかけるセリフで、アイコンタクトをした瞬間である。
丸暗記というのは綱渡り意識が高く、違う言葉を探すより思い出すことに賭けた。
沈黙が少しずつ長くなる。聞き手がざわざわし始めた。
賭けは失敗。しょうがなく、セリフをリピートしながら違う言葉を吐いた。

丸暗記は本当に綱渡りだ。
一文を抜かすと、一気に論理的に破綻する可能性がある。
スピーチの瓦解。
それが怖い。そのため思い出すことにこだわってしまった。

そして、次に考えたことはタイムロスだ。
スピーチ全体をギリギリの時間に詰め込んでいた。
焦り、やや早口になる。
段落のあいだに大きな間をとれず、感情の発露だけ、声の強弱だけで抑揚をつける時間が続く。
会話調にならないのは丸暗記の限界だろうか。
ジェスチャーは発言とズレが生じ、効果を失っていたように思う。

本論で三つの内容を紹介する中で、確かにどよめきなどの反応はあった。
「三つにわけて紹介しましたが、さらに何よりお薦めしたい理由があります」
あえて詰め込んだ箇所だけに、説得力を発揮しないといけないところ。
どうだっただろうか。正直、手応えはなかった。

次に私自身にも大きな発見があったという、感情の発露。
声に感情を込めて、意外にうまく表現できたように思う。
ただ、この後にきた結論が淡泊というか、無難なものになってしまった。
結論の弱さは、よくよく指摘されることになる。

あれだけやってもこの程度なのか、という気持ちと、
このスピーチで言葉に詰まったのは貴重な学びだという気持ちと半々。

その後、後者が勝ってTMCのグループメールに改善点を乞うた。
勢い余った個人的なお願いに、七人から七様の意見をくれるのがこの集まりの仲間意識の強さなんだろうな。そして、そのどれもが膝を打つ内容だった。
そのうちまとめようということでとりあえず中途半端に〆。

2012年6月10日日曜日

6月の課題

半年前に自分の話し方の課題の棚卸しをした。
そのときに設定したものは以下のとおり。

①声 ②話術 ③描写 ④メンタル ⑤姿勢 ⑥ロジック ⑦司会 ⑧傾聴 ⑨ユーモア ⑩ボキャブラリ ⑪話材収集 ⑫自己分析

振り返ると、成長を感じるものもあれば、まったく手つかずになっているものもある。
状況や関心もだいぶ変わっている。
ボイトレやTMCに通いはじめた。そしてメンタル、姿勢、傾聴、司会の優先順位が下がった。

6、7、8月の強化テーマはスピーチ、プレゼンでいきたい。
中でも身振り手振りを使い、そのキレを上げることを強化したい。

6月のメイン行事はTMCの準備スピーチ第2回「スピーチの構成」だ。
最重視したい。その都度、今できるベストのスピーチを出すことで成長していくしかない。

それ以外の課題は以下の通り。

◎声
ボイトレの復習を増やす。

◎朗読
太宰治の短篇をメインに毎日少しでも続ける。

◎ボキャブラリ
朗読を利用する。辞典の活用方法を考える。

◎ロジック
シビック教室のプレゼンを利用する。

◎ジェスチャー
両手を使い慣れる。TMC、TED、テレビでの研究。見よう見まねで実践あるのみ。

◎自己分析
準備スピーチを利用する。

2012年5月16日水曜日

TMC_アイスブレーカー【備忘】

TMC最初のスピーチ「アイスブレーカー」は丸暗記だった。
マニュアルには序論、結論を暗記すれば余裕が持てるとある。そりゃそうだろう。ただ、本論を流れに任せて話す度胸はまだない。
スリルを楽しむ? いや、ものには順序というものがあって、まだ早いと思うんだ。
記憶力のなさには自信がある。
序論、結論はもちろん、当然のように本論も暗記で行こうと決めた。

ようやくできた原稿を、メンターにチェックしてもらった。
最も有効なアドバイスは、1文を30文字、長くても40字程度にすれば覚えやすくなるということ。なるほど、確かに長いところが覚えづらい、ということでブツ切りにした。
一方、K川さんからは日曜の勉強会で、必要のない情報の削除と圧縮、接続詞を活用すればスムーズな論理展開になるとの助言があった。しばらく前に読んだ『文章は接続詞で決まる』を引っ張り出してチェックした。

スピーチは4分-6分半の間に収めなければならない。
しかし前日、シビック教室で予行演習を行うと9分オーバー。焦りマックス。

居たたまれず当日、午後半休をとった。ついに一人カラオケデビューをした。一時間半。本番を想定して、とにくスピーチに没頭した。練習は以下のステップ。

▼ステップ1
カラオケの映像を消してスピーチ。
▼ステップ2
カラオケの映像を付け、音は消してスピーチ。
▼ステップ3
カラオケの映像、音ありでスピーチ。
▼ステップ4
カラオケの映像、音あり、ケータイアラームあり、ガラス扉を正面にスピーチ。
▼ステップ5
カラオケの映像、音り、ガラス扉を正面に、飲み物の追加を頼んでスピーチ。

このステップを踏む根拠は、集中力の維持に尽きる。
シビック教室では、合いの手を入れられて記憶が飛んだ。丸暗記なんてそういうものなのかもしれない。つまり少しずつノイズを増やし、それでも話し続けられるよう努めた。

何度となく練習してみると、具体的なエピソードの後半はスムーズに行くものの、ダイジェストを語る前半で詰まることがわかった。冒頭のテンポがその後のスピードに影響する。第2パラグラフまで1分を目指した。


本番、緊張は心地よいレベルだった。
登壇。見まわすと、みんなの眼差しが温かい。スピーチの成功を願ってくれていることがわかる。
ただ、話し始めてからは、アイコンタクトはしっかりしないことを意識した。その瞬間、原稿を忘れてしまうのが怖かった。一度止まったらアウト。モヤッと見ることに徹した。

タイマー係が正面から4分を知らせる青いボードを上げる。
頭が真っ白になりかけた。ボードが上がる、ただそれだけで集中力が削がれた。ボードを直視するのが怖く、眼の隅に追いやるように左右に顔を向ける。遠くの人からアイコンタクトもできていた、とコメントをもらったのはそんな顛末。
5分を知らせる黄色いボードが上がる。ペースが遅い。次のつまずきが命取り。

6分を知らせる赤いボードが上がる。残り30秒。
同じタイミングで結論に入った。オチの手前は2秒と決めていたが、そんな余裕はない。
駆け込むようにフィニッシュ。


最後まで話すのが第一目標、現状で最善のスピーチにするのが第二目標だった。
第一印象というが、スピーチも最初で力量を計られると思うのだ。
しくじれば励まし、つまり“褒める”アドバイスが多くなるだろう。
ただ、ある程度の力を発揮できれば、ステップアップのためのより具体的な助言をもらえるだろう。細かい筋肉を鍛えるために、重箱の隅をつつくようなアドバイスがほしかった。

結果的にベストスピーカーに選ばれた。
話術ではかなわない。自己開示系であればチャンスはあると思っていた。
ただ、相対評価である。むしろ、一人一人が名前を書いてくれたという行為を思うと、うれしい。

今後の課題は語り口の自然さ、だな。

2012年5月3日木曜日

さぼりグセでしかない

スピーチ上達のキモは復習である。
復習のためにこのブログを活用する、はずだった。
それが徹底できていない現状を受け入れなければならない。

前回、更新したのは3月末。
ボイトレの体験レッスンに行ったことを綴っている。
それから一ヶ月以上更新していない。

4月とはどういう月だったのか。
ボイトレのレッスンが始まり、TMCでは与えられた役割をこなした。
シビック教室で4度のプレゼンを行い、3つの教室で「人を動かす話し方」を学んでいる。
説明とロジックの強化月間だった。けっこうな数の関連書籍も読んだ。

その経験と記憶をアウトプットしていない。
メモはしていても集約していない。
残念だ。しかしそれが現状だ。

頭の中だけで考えすぎ。
インプットに重点を置きすぎ。
意識が低すぎ。

これでは劇的な成長なんて望めない。
ラクしようなんてのはまだ早い。

4月の振り返りと5月の目標。そこから再スタートしよう。

2012年3月29日木曜日

ついにボイトレを始動

K口さんの紹介でボイトレに通うことにした。
まずは今日の会社帰りに30分の体験レッスンに出かけた。

笑顔がまぶしい女子先生(苦手なタイプ)とのマンツーマン。
腹式呼吸、発声、滑舌のレッスンを粛々と進めながら、声のクセなどを指摘してもらう。
その中に膝を叩くことがあった。

「かきくけこ」という発声をやらされた後、上唇がほとんど動いていないという指摘を受けたのだ。
鏡を見ながら発声すると一目瞭然。口を大きく開けていても、上の歯があまり見えない。
これは何を意味するのか。

これでは声がこもって相手に届かない、らしい。

そう指摘されると、確かに話をよく聞き返されることが多いということに行き当たる。
実は、ボイトレに通ってみようかと思案した理由の一つでもある。その打開のヒントになる指摘だと思った。
スペシャリストならではなんだろうな。ということで入会を決めた。

◎滑舌をよくしたい。
◎通る声を身につけたい。
◎表現力をつけたい。

入会動機にはそう書いた。

実はこれまで、ボイトレの効果なるものを疑っていたふしがある。
いやいや、正確に言うと費用対効果、だ。
以前調べたときの「高い!」というイメージから検索さえしてこなかった。

であれば、本を読んだり、教室で情報交換したり、独学中心でなんとかなるのではないか。
事実、声がよくなりましたね、と言ってもらえることも増えた。
自分でも外郎売り、風呂場での発声など、自己流の訓練で少しずつだが向上していると思う。

ただ、ただである。
K口さんのスピーチの声を聞いていると、いつも根本的な何かが違っているような気がするのだ。
鴻上尚史ふうに言えば声の演出力が圧倒的に違う。
スピーチの内容以前に声だけで聴かせるところがある。
朗読をやるとこうも違うのか。そう想像していた。
そこで聞いてみたところ、実はボイストレーニングに通っている、ということを教えてくれた。

声のアドバンテージについて思いを強くしている昨今である。
話を聞いてからは迷いなく体験レッスンを申し込んだ。
スクールを主催にしているのが自分も参考にしている本の著者だったこと、月2回30分であれば許容できる料金だということも大きい。

ただ受け身になりすぎないよう、それだけは肝に銘じて、新しい恥をかく場を見つけたと考えたい。

2012年3月12日月曜日

人を励ます。

人を励ます。
そのことに意識が向いたのは震災以降だった。
被災者のために自分は何ができるのか。考えれば考えるほど、すべての行為が自分に対する癒しのように思えて、後ろめたさでがんじがらめになったこともあった。義援金を送ったのも、ボランティアに出掛けたのも、黙祷したのも、誰のためでもなく自分のため。素直に認めがたいが、実際そうなんだろう。気づいたときは愕然とした。

一方、後ろめたさの代償行為ではなく、もっと身近な、縁があって付き合っている人たちに、言葉をもって「励ます」という意識がわいた。これは話し方を学びはじめたことが大きい。

今日のC教室で学んだ「表現の原則」に、いみじくも肯定的な表現は相手の自尊心を尊重する表現だ、という内容が含まれていた。まさにそういう意識が高まったんだと思う。

多くの人にとってこの一年は、自分の人生観を総点検する年になっただろう。一方で、どのような言葉を使うか、瞬発的な選択を迫られた時期があったように思う。
テレビやネットでは剥き出しのネガティブ・ワードが溢れた。その過激な言葉に触発された多くの人たちが、その言葉を日常で繰り返す。

確かに理不尽なことは多い。政府、東電、原発に対しては誰もが一家言を持つだろう。
しかしその「呪いの言葉」は、発した人自身をも疲弊させていくようだ。実際、自分がそうだった。震災にまつわる否定的な言葉の蓄積が、自らのメンタルをどす黒く侵していく。

厄介なことに、そのモードは我々の日常にも引き摺られているように映る。
この現状は、自らの言葉までも再点検して意識しなければ修正できないのが実感である。負のスパイラルを止める手立てとして、手に入れた「肯定的な表現」を柔らかな武器として今後も使っていきたい。

あ、柔らかな武器っていい言葉かも。

2012年3月11日日曜日

タイムキープという気遣い

N教室のK川さんが読んでくれるということで久しぶりの更新。


憚りながら、話し方教室のタイムキープは参加者への気遣いとしてかなり優先順位が高い事項だと思うのだ。例えば、こんなようなケースに実によく遭遇する。

・3分スピーチの実習で残り時間10分。
・まだ3名が終わっていない。
・それまではスピーチ後に複数の講師が論評。

これは教室を限定しない。多くの教室の日常である。
この状況でどういうタイムキープが採用されているか。
経験上、残り10分の過ごし方として、一番多いのはおよそ2名がスピーチを行い、その場にいる講師全員が論評を行うパターンだ。残りの1名は何もできないまま終わるというケースが多い。
講師は残り10分だと気づいていないか、あるいは気づいていないように振るまっているように映る。気づいているのは受講生だけ。しかし当事者になると言い出しづらいのだ。

しっかりタイムキープしてくださいよ、なんて言えない。ものは言いようというように何かしらあるとは思うけど……。

ただ自分だったらと、シミュレーションはできる。
自分が考える次善策は、2分スピーチにして論評を講師が一言ずつ行う。はたまた3分スピーチのまま論評は行わないというもの。それぞれ制限時間オーバーを想定して、残り時間を告げてやんわり釘を刺すことが前提。後者のケースは、その場で論評しなくても、帰り道で論評を伝えることだってできると思うから。

本当の最善策はそういう状況にならないようにするということだ。
とはいえね、これ、言うは易く行うは難し、なんだということを忘れていけない。
これもまた貴重な学びということで。

2012年2月13日月曜日

緊張感の重要性

成長を目指すチームは新しい血を必要とするものなのだろう。
なぜか。
マンネリ化しないためである。

事実、C教室はマンネリに陥っていた。
少数固定のメンバー。それぞれの事情もあり開始時間をすぎて集まる受講生、与えられたことをこなす受け身の内容、準備不足を許容する雰囲気、先生のスケジュール管理も回を重ねるごとにキレがなくなっている。
慣れによる居心地のよさはあるが、3時間もありながらスピーチ実習が一人一度で終わる状況に違和感も覚えていた。

マンネリ化すると成長にブレーキがかかる。本当に自分は話し方を上達させたいのか。準備不足に対する毎度の後悔。もうここにいるべきではないのだろうか。

そんな中、今日から新しい生徒が二人やってきた。
そして小さな化学変化が起こったように思う。

やはり、自分をよく見せたいという気持ちが生まれるようだ。
余裕を見せたいのか心なしか皆冗長で、実習にはいつにない緊張感もあった。

新しい血のおかげだ。

少数メンバーで実習の機会が多いのも、C教室のよさだと思っていたけど、自分の実習時間が減ってでも、ある程度の人数がいるほうが成長スピードは早いのかもしれない。
誰かが入ってくるにしろ、自分がどこかに入るにしろ、心地よい緊張感のある状況に身を置くのが成長の近道だとあらためて思った。

2012年2月6日月曜日

スロウ・リーディングの効用(プレゼン)

C教室でプレゼン実習を行った。
はじめてのパワポプレゼンとなるはずが、プロジェクターの準備がなく、プリントアウトしたレジュメを配って聞いてもらうことになった。

皆さん、こんにちは。

皆さんは本をもっと早く読みたいと思ったことはありますか?
いわゆる速読というやつです。
書店にはこの速読に関する多くの本が並んでいます。
もっと多くの本を読みたい、もっと多くの知識を身につけたい。
そういう思いは誰にもありますよね。

ただ、そのようにして手に入れた知識は、本当に身になる知識でしょうか。
自分の頭でじっくり考えないまま、丸暗記の知識を詰め込んでいく読書では、しばらくすればすっかり忘れてしまいます。受験勉強を経験した多くの皆さんは、そのことを直感的に知っているのではないでしょうか。

そんな皆さんにオススメしたい本があります。
それがこの『奇跡の教室』です。

ベストセラーにもなりましたし、テレビでも放映されましたのでご存じの方も多いかもしれません。この本は、兵庫県にある灘校で橋本武さんという先生が行った国語の授業を紹介しています。

灘校といえば、東大合格数でトップを争う名門ですが、当時、公立高校の滑り止めだった灘校をそこまで導いたのがこの授業だと言われています。

ではどんな授業か?
それは『銀の匙』という小説、一冊の薄い文庫本を3年かけて読み込むというものです。
教科書は一切使わなかったそうです。このような授業を実現できるのは、中高一貫の灘校が、中高で一つの科目を一人の先生がずっと担当するシステムのおかげでもあります。
結果的に速読とは真逆のスロウリーディングを実践する授業です。
ところで『銀の匙』とはどのような本でしょうか。

『銀の匙』というのは著者・中勘助という作家の自伝的小説で、明治期を過ごした少年時代の思い出を子どもが感じ体験したままに描き出した名作です。夏目漱石は『銀の匙』を「未曾有の作品」と評価しています。
では授業内容に戻ります。

そんな主人公の少年の見聞や感情を追体験していくというのが、授業のひとつの柱です。
例 えば、主人公の少年が伯母さんと『春の七草』摘みをしている場面に出くわすとみんなで七草について深く勉強していく。そして七草がゆを実際に食べてみま す。少年が駄菓子に行けば、その駄菓子屋に並んでいた飴や羊羹を持ってきて食べさせる。主人公が凧を上げたら、美術の先生に頼んで生徒のみんなに凧を作ら せて、上げさせたそうです。
そうやって横道に逸れながら、一冊の本を徹底的に味わい尽くすことで、完全に自分のものにしていきます。二週間で一ページしか進まないこともしょっちゅうだったそうですが、これはもう国語の授業の枠さえ超えた、総合学習のはしりと言えるのではないでしょうか。
橋本先生はこう言っています。

国語は学ぶ力の背骨である。

皆さんは学校の国語の教科書でどんな作品を読んだのか覚えていますか。私はほとんど覚えていません。タイトルはおぼろげながら覚えていたとしても内容はほとんど忘れています。
何かの力になっているのでしょうが、実感としてはないようにも思います。

以上をもって、スロウリーディングで身につくものはこのような能力ではないでしょうか。
1.自分から興味をもつ姿勢
主人公の行動をじっくり追体験したことは、生徒の学ぶ意欲を着実に引き出したと思います。
2.徹底的に調べる力
これは「わからないことは全くない」領域まで、一冊を徹底的に味わい尽くす、その必然として身につく能力ではないでしょうか。
3.気づくセンス
季節の変化にも敏感になりますし、わからないままにしておかないアンテナができたのではないでしょうか。

なかなかじっくり本を読むという時間はとれないかもしれないですが、世の中がより効率を追い求めている時代に、このようなスロウリーディングの効用を教えてくれる本に出合うことは、とても新鮮な体験でした。

2012年1月31日火曜日

えーとカウンターに期待

今年から挑戦したい三つの習いごと。
その一つが、トーストマスターズクラブである。

早速見学に行ったが、レベルの高さに度肝を抜かれた。
参加者は20名ほどだろうか。
事前に配布されたタイムテーブルに従って滞りなく進んでゆく。
司会者の挨拶に始まり、役割担当の報告、見学者の自己紹介……

これまでに参加したどの教室にもなかった時間の密度。
終わったときにはぐったり疲れた。

この教室でもっとも興味をもったのが「えーとカウンター」である。
スピーカーの発した冗語の数を計測する係がいるのだ。
ちなみに自分は1分間にもかかわらず4回……。
でも、これだ!と思った。
ストップ・ザ・冗語!
の切り札になってくれることを期待したい。

2012年1月29日日曜日

オーバーな表現に注意を

話し方コンテストの見学に出かけた。
大ホールの舞台で参加者たちが3分スピーチを順番に行っていく。
時間をかけて練り上げられた各人のスピーチは聴いているだけで勉強になるものが多い。

もちろん良い意味ばかりではない。
一つ気づいたことがある。それは表現力の問題だ。

参加者の中に、演劇のような役者がかった話し方をしたり、いかにも朗読やっていますという向きが散見した。これには長短あるなと思った。

確かに表現力としては惹きつけられるところがある。
ただ、大袈裟にやればやるほど嘘っぽく聞こえてしまうのは否めない。
そんな実感があった。
会場の大きさもあるだろう。ひょっとして教室レベルの小さい会場だったら、話の雰囲気に飲まれるなかでただ内容に没頭できたかもしれない。しかし会場が広いと引いた、冷めた目で見えてしまう。

奇しくも講評では、表現がオーバーすぎると話し手と聞き手との間に気持ちのズレが出てくる、ということに触れていた。

会社では声の大きい人ほど意見が通るという状況もあるようだが、
実際の話し方というのは、そうはいかないだろう。

声の大きさ、歯切れ、滑舌。洗練されていることに越したことはない。
ただそれは、自然に聞こえるようにという条件付きのようだ。


さて今回、初めて話し方コンテストというものを見学したが、
いつもいっしょに勉強している仲間二人が入賞するという快挙を目撃できた。
特に優勝したHくんは、表現力はもちろん、本人が晒したくない部分をスピーチに盛り込まれており、切実さがダイレクトに伝わってくる内容。
スピーチのお手本のようだ。

2012年1月25日水曜日

準備が足りないな

だから、対話で落ち着いて話そうよ。
営業で相手が落ち着いて話していることに気づいて我に返るような状況があった。

一つには準備が足りない。
売り込みのシミュレーションが足りない。
毎回同じことをくり返していないか。
時間をとってもらっている後ろめたさもあるだろう。
精神的にもタフにならないといけない。

どんな会話に向かうだろうか、というイメージを膨らまそう。
イメージングとメンタルが課題。
もうそろそろ同じ失敗をくり返すのは卒業しようぜ。

2012年1月24日火曜日

数字を説明する難しさ

話し方をどれだけ勉強しても、日常に活かせなければ意味がない。
スピーチばかりに重点を置かず、報告、説明、説得、忠告など、実戦化させていかなければいけない。
端的に、現状では仕事での会議に活かしきれていない部分がある。

活かせていることは、アイコンタクト、ジェスチャー。
相手の話を取り入れて意見を膨らませたり、道筋をつけていくこと。
話し合いを最後にまとめること。

活かせていないのは、論理的にわかりやすく話すこと。
整理しきれずに話してしまうこと。
主題を明確にしないまま話し始めてしまうこと。

特に今日の会議では、数字を口頭で説明することの難しさを感じた。
今後の課題になってくるだろう。

2012年1月23日月曜日

落ち着いて染み入るように

K口さんのスピーチは参考にすべき点が多い。

通る声の安定感、抑揚、強弱、指揮者のように大袈裟なジェスチャー、対話するような目配り、喜怒哀楽が素直に反映される表情の豊かさ。メリハリがある。
それらが調和し、ゆっくり染み入るように聞き手の中に入ってくる。

今回のスピーチ実習は、K口さんの後ということもあり、観察しながら自分の順番でそのあたりを意識してみた。

結果、いつもより落ち着いて、聞き手の様子を見ながら話せたが、如何せん、1分程度の時間オーバー。でもよい勉強になった。これまでを振り返ると、時間内に収めようとして早口になるパターンをくり返していたように思う。

こういうところを指摘してもらえると有り難いのだが、自分で気づくしかないのが今の教室の現状というか、限界というか。場数はこなせるのだが。

自分は余裕がなくなると焦りがすぐ表に出て、早口になってしまうタイプだと自覚している。
スピーチ同様、対話でも早口にならないよう落ち着いて、相手に染み入るように話すことを意識したいところだ。

2012年1月22日日曜日

声を鍛える活弁、スタート

年末に顔を出した活弁ワークショップが今日からいよいよ本番。
活弁で鍛えたいのはズバリ声だ。声の大きさ、歯切れ、滑舌。やればやるだけ声の体力というべきこの三つを鍛えられることは確信している。

前半、たっぷり時間をかけて声のトレーニングを行う。話し方教室の発声練習とは違い、声で食べているプロの助言には説得力がある。刀を磨くように声を鍛えている感覚をおぼえた。

顔の柔軟体操から始まり、声を前に飛ばすイメージ、上半身の力を抜く、重心を真下に落とす。

とはいえ、活弁士ならではのクセのある発声をマネるのが一朝一夕にはできそうにない。
特に語尾で声を押さえつける発声がしっくりこない。お手上げである。シコを踏むようなイメージと言われたが、コツさえつかめないまま終わった。練習あるのみ。

後半の活弁の実習では、台本を渡されていきなりスクリーンにアテレコすることになった。
作品は「国定忠治」。
せっかくなら「チャップリン」をやりたかったが、先生の指定は「国定忠治」だった。
正直、興味を持ったこともなかったが、先生の「こっちのほうが滑舌がよくなるから」の一言に気を取り直す。

戸惑いながらも「映写よーい、スタート」

今回は読むのに精一杯だった。スクリーンを見る余裕もない。舌が絡まるようにつまずき、さらに焦る。表現以前の問題でまずは噛まずに読めるようにならなければ。

でもこれができるようになれば、という期待感もある。
センスがないのも残念だが、それをカバーするには、もう練習するしかない。
やることが決まればゴールが見えたということでもある。頑張ろう。

2012年1月17日火曜日

先入観の意外な効用

正月、成人式をはさんで、久しぶりのC教室。

年末は相互理解を阻む三要素である言葉の性質、心の傾向を学んで〆だった。今日は最後に残った先入観についての講義。先入観にもいろいろあるもんだ。

講義内容でそれほどの気づきはなかったが、先入観という切り口で見ていくと、失敗談のネタが思い出しやすく話材収集に最適だと気づいた。講義を聴いているだけで、いくつか思い当たるエピソードがあった。
つれづれなるままに挙げていく。

老舗だし値段が高いから美味しいだろうと思って出かけた某みそ煮込みうどん専門店。

閉店間際に営業へ行って怒られた。他店は閉店間際でもウェルカムだったりする。

いつもガラガラの映画館に開演ギリギリに行ったらキャンセル待ちしかない状況に。

高いと思っていた歌舞伎鑑賞だが、歌舞伎座で一番安い席は700円だった。

先発ピッチャーを見るかぎり捨て試合だと思っていたら勝った。

高いほうが美味しいと思ったらどうってことない。

不良なのに帰り道で子犬にエサをあげているのを目撃する。

過激なイメージのあった人だが、会ってみると人一倍まわりに気を遣う人だった。

2012年1月15日日曜日

小泉進次郎のスピーチ集

▼陸自 高等工科学校56周年記念式典 小泉進次郎議員・祝辞(2011年)
http://www.youtube.com/watch?v=l7ZQAj7F5tE

▼小泉進次郎「ちょっと熱が入りすぎちゃった」演説@横浜・上大岡 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=XkfiZpFERGA&feature=related

▼小泉進次郎「ちょっと熱が入りすぎちゃった」演説@横浜・上大岡 2/2
http://www.youtube.com/watch?v=9XVMgNKnYsU&feature=related

▼小泉進次郎応援演説川口駅東口キュポラ広場1
http://www.youtube.com/watch?v=Lb0Vaa-00w8&feature=fvwrel

▼小泉進次郎応援演説川口駅東口キュポラ広場2
http://www.youtube.com/watch?v=XVmVZCpRVOM&feature=related

▼5.13 衆議院本会議 小泉進次郎議員①
http://www.youtube.com/watch?v=sMYEfxJmrng

▼5.13 衆議院本会議 小泉進次郎議員②
http://www.youtube.com/watch?v=31RnPgWGgvU&feature=related

▼2011「春の集い」小泉進次郎衆議院議員 来賓挨拶
http://www.youtube.com/watch?v=7HGC3TqV2Cw

▼日本論語研究会 小泉進次郎講師(1)
http://www.youtube.com/watch?v=_skYeTh2Qlw

▼20110629J-NSC総会小泉進次郎先生演説
http://www.youtube.com/watch?v=aHGlHHSITAY

▼小泉進次郎講演1 関口まさかずさんを支援する決起集会
http://www.youtube.com/watch?v=cwfWmlGVoXU&feature=fvst

▼よこくめ勝仁と小泉進次郎を比べてみた(前半)
http://www.youtube.com/watch?v=tRhAEVwuvR0

▼よこくめ勝仁と小泉進次郎を比べてみた(後半)
http://www.youtube.com/watch?v=O6o3IKIq6UA&feature=related

▼未来のためのQ&A 小泉進次郎 神奈川11区
http://www.youtube.com/watch?v=YCE-0xnuxdI

2012年1月14日土曜日

自分を変える意識

初対面での気後れって簡単には治らない。
自意識が強すぎるんだろうな。

自信を持とう。
それを態度に、声に、話に出そう。
自己紹介で名乗ってからいきなり「えー」とか冗語を使ってたらいかんだろ。

出し抜けの質問に対しても答えきろう。
中途半端に言いよどまない。
はっきり答えて間違えていたらしょうがないじゃないか。
胸張って頭に浮かんだことを即答したらいい。
自分はこう思う、それでいい。

よく見られたいという意識が働きすぎて萎縮するのは、逆効果。

エネルギーが不足しているのだろうか。
ジョブズの『奇跡のプレゼン』にはこんなことが書かれていた。

快適な範囲から飛びだすこと。大げさにやる。声を大きくする。しぐさを大きくする。思いっきりにっこりする。ここまでやったらさすがにみっともないと思うところまでやってみる。(略)快適な範囲から飛びだし、「やりすぎ」のレベルまでやってちょうど。「シーン15 簡単そうに見せる」より要約

最初は不自然かもしれないけど、しばらく続ければ自然になるのだろう。
自分を変えてみせる。その意識でスピーチに臨みたいところだ。

さて、教室の講義では話力についての話があった。
話すことによって相手に及ぼす影響力を、話力という。
うまく話せたとしても、それが必ずしも相手によい影響を与えるとは限らない。
つまり、話術だけでは心許ない。
身につけるべきは話力なのだ。

では、話力とは何か。
話力には三本柱があるという。

誠実、理解力、表現力

講義を聴きながら、理解力に対する意識が低かったことがわかった。
特に「自分の知識・考え方・性癖などを正しく把握し、検討する能力」が足りない。
自己分析を早い段階でやらねば。

まわりによい影響を与えたい。
あいつがいるおかげだと言われたい、思われたい。
あぁ、こんな煩悩だらけでよいのかしら。

2012年1月12日木曜日

もっと身近な話はどう?

今年初めてのM会では、テキストを横に置き、一年間の目標について全員がスピーチをした。

僕はいろいろある中から、外郎売りのセリフを年間1000回諳んじたい、ということを話した。
お正月に、落合博満の著書『采配』を読んで心技体の「体」の大切さを思い直した。落合が監督をした中日ドラゴンズは、12球団イチの練習量を誇った。技術ではなく体力が資本という考えからだ。話し方で「体」に当たるのは声だろう。つまり、声の大きさ、歯切れ、滑舌である。最近、話すスピード、抑揚、間、アイコンタクト、ジェスチャーなど、話術に意識が向きがちだったが、今一度、声を意識して鍛えよう。それを訓練できるのが外郎売りのセリフである。去年5ヶ月かけて丸暗記したことを活かしたい、という内容にした。

話し方教室だから話し方の目標について話したが、聴衆分析が甘かったかもしれない。
皆さん、もっと生活に根差したことを話されていた。曰く、一日100回「ありがとう」を言う。曰く、太っ腹に生きる。曰く、新品の服を買わずにあるものを着る。これがまた、くすりと笑えて共感できることが多い。曰く、きれいな字を習う。

とても身近なお話で、皆さんの等身大の生活が垣間見られるのだ。こういうもっと生活実感に近い話をしなきゃな、と思う。お話を聞くたびに、自分の話がいかに大上段か、思い知らされる。マジメかつ大上段。もっと身近なところで話題を探せるようになりたい。こりゃネタ帳が必要だな。

▼本日の学び
ジェスチャーにキレがある(I原さん)
目標がないという意外性のあるテーマながらペースを崩さない。マイペースの大切さ(A瀬さん)
ゴシップの話題を引っ張り、最後の最後であざやかに目標を導く(N津さん)

2012年1月7日土曜日

司会者の理想像とは

2012年、初めてのN教室だった。
「司会能力を高めるには」という講義の中で、話し合いにおける二通りの司会者の理想像が見えてきた。

◎目標を最後まで達成しようという気持ちを持ち続ける司会者。
◎誰が司会を担当したかわからない(存在感が表に出てこない)司会者。

司会者のリーダーシップが発揮された前者と、それが発揮されていないように感じる後者。
自分は、どちらかというと後者の司会にフィットするタイプだが、前者のようなリーダーシップに憧れるところがある。

ただ、今この講義を振り返りながら、どうやらこの二通りの司会者は必ずしも対極に位置するわけではなさそうだ、という気がしてきている。つまり、両立可能なのではないだろうか。

司会者に求められる能力は主に以下の三点だという。
1目標達成能力
2会合の運営能力
3人間関係処理能力

今の時点では、これらの能力をスタンドプレーにならないレベルで遂行するのが司会者の理想像だと考えよう。自己満足にならないように謙虚な気持ちを持ち続けつつ。


▼今日の反省
◎フリートークで拍手をもらったときに間を置かずに被せて話し続けてしまった。照れ隠しもあったに違いないが、拍手、笑いには間を置こう。
◎聞かれていないことに答えてしまった。問いを忘れているからだ。聞き直す勇気。聞いていなかったことを認める。
◎今日は終始饒舌ぎみだった。話すテーマ、エピソードは極力、一つに絞ろう。
◎新しい参加者には自分から話しかけなきゃ。

▼本日の学び
◎散漫になった話を一言でまとめてくれた(F垣さん)
◎相談をしてくれた、その人のために話し方を学んでよかったという境地(O浦さん)
◎スピーチにて、人の話を聞かずに自分が何を話すかに意識がいってしまっていたことを、サッカーで必要な観察力と重ねるアナロジー(N野さん)

2012年1月5日木曜日

驚異のプレゼン_メモその3

ジェスチャーについて、以下「シーン14 存在感の出し方を身につける」より引用する。

ジョブズのようなすばらしいコミュニケーターはじっとしておらず、身ぶり手ぶりをよく使う。

身ぶり、しぐさなどは力強く、明確で、自信にあふれているだろうか。

ボディーランゲージとしゃべり方で聞き手の印象が決まる。

身ぶり手ぶりを使ったほうが考えがまとまり、プレゼンテーションでいいしゃべりができる。逆に体を動かさずにいようとすると意外なほど注意力を取られてしまう。深く考える訓練を積み、自信のある人は、その明快な思考が反映された手の動きをする。手の動きを見ていれば、思考プロセスがわかる。

両手を体の両脇にたらすと緊張しているように見えたり堅苦しく感じたりする。

如何せんジェスチャーが苦手なのである。大きな理由は、言葉と一致しなかったらどうしよう、不自然だったらどうしようという不安だ。そうやればいいのかわからない。

『驚異のプレゼン』を読むと、ジョブズはスピーチの機会ごとに何時間もの練習の中で体得していくそうだ。なるほど、努力すればなんとかなるというのは一つの安心だったりする。

ただ、練習で体得できるにしても、それ以上に、とにかく何がなくとも手を動かすところから始めることが正しいように思えてきた。間違ってもいい。言葉とズレていてもいい。まずジェスチャーする勇気を持とう。

ジェスチャーと言えばこの人、というほどC教室のK口さんはよく手が動く。
当初は「過剰なんじゃないの」と思うところもあったが、どうにも話に惹き込まれる。滔々とした喋りと相まって音楽的にさえ映るのである。

K口さんという手本を研究しよう。

極論、ジェスチャーありき。
オシムの「考えながら走るサッカー」よろしく「ジェスチャーしながら走るスピーチ」でどうだろう。まぁ練習あるのみ。

2012年1月4日水曜日

驚異のプレゼン_メモその2

頂点に立つ人は、努力が他人より多いという程度でもずっと多いという程度でもない。圧倒的に多いのだ。「シーン15 簡単そうに見せる」より

この言葉を前に、居住まいを正さざるを得ない。
これまで話力を高める努力をほとんどしてこなかった。それはあきらめに近い心境からだ。

頭がいい人は勉強しなくても頭がいいんだろうな、と思っていたのと同様、話が得意な人は生まれもったセンスでそうなんだろう。とも思っていた。僕にはセンスがない。だから無理なんだと、まぁ、努力するという発想もなかった。

いや、そうとも言い切れないか。
何度となくセミナーに通った。NHK講座、アサーション講座、ボイストレーニング……、ただ続かないのだ。
目の前の仕事で、時間がなかったというのも苦し紛れではあるが、正直なところである。
であれば、時間ができた今は、言い訳できない。


ジョブズは、プレゼンテーションに向けて一日何時間もの練習を何日も何日もした。
プレゼンテーションの隅から隅まで練習する時間を確保した。
何週間も前に準備を始め、しゃべる予定の製品や技術について勉強していった。
アイコンタクトだって、しゃべるスピードだって、間の取り方だって、言いたいことが理解されるように仕上げていく。
何時間も真剣に練習したからこそ、何気なさが生まれてゆく。

ジョブズに限らず、世界的なコミュニケーターたちも、意識的に練習していることが明らかになったそうだ。なんとなく同じことをくり返すのではなく、具体的な目標を設定し、他人からの意見を聞き、長期的によくなるほうへ進もうと努力を続ける。自然な話し方をしたいのであればなおさらだ。練習で練り上げなければ「自然」にならない。

プレゼンテーションを「生き生きとさせる」には練習が必要である。

2012年1月3日火曜日

驚異のプレゼン_メモその1

今年の初読書に『采配』を選んだ勢い、気になっていた実用書を購読した。
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』

プレゼンとあるものの、スピーチを上達させるためのヒントも満載だった。
とりあえずはスピーチ仕様に超訳するイメージでメモしていきたい。

(製品について)聞き手というのは「なぜ気にかける必要があるのか」と思いながら聞いている。聞き手を儲けさせる製品なら、そう伝えよう。節約ができるものなら、そう伝えよう。作業がやりやすくなる、あるいは楽しくなるものならそう伝えよう。なるべく早い段階から、繰り返し、はっきりと伝えよう。「シーン2 一番大事な問いに答える」より


聞き手は「なぜ気にかける必要があるのか」と必ず自問している、という。

スピーチに置き換えると、なぜ“この話を”気にかける必要があるのか、ということだろう。
まずこの問いかけに答えてあげれば、聴衆を話に引き込むことができる。

話す目的を意識しようというのは、他の話し方の本にも散見するトピックだ。
楽しませるのか、感動させるのか、納得させるのか、行動させるのか……。

ただ、スピーチ本の場合、聞き手のことを考えてといいつつも、意外に話し手目線であることが多い。前述の例で言えば、楽しませるのも、感動させるのも、話し手側の目的意識である。

しかし、この本ではあくまでユーザーの視点、すなわち聞き手である聴衆の視点から考えることを促している。

プレゼンとスピーチの目的の違いも関係ありそうだ。
プレゼンというのは相手が行動に移ってはじめて話し手の目的が完結する。
相手の役に立つことだけがスピーチじゃないから、聞き手目線の徹底ぶりが違うのかもしれない。
ただ、話は100パーセント聞き手が決定する、というのも教室で学んだことだ。

なぜ“この話を”気にかける必要があるのか。

よい問いじゃないか。
スピーチの前には必ず聞き手のメリットを考える習慣をつけたい。

2012年1月2日月曜日

『采配』にトレース

『采配』の要点を抜き出し、自分なりに話し方上達の道筋をトレースしてみることにする。

▼達成不可能なぐらいの目標とは?

話し方教室の講師を目指す。

▼どういうプロセスで到達するのか?

1聞く技術を高める。
2話し合いの司会能力を高める。
3会そのものの進行能力を高める。
4プレゼンスキルをあげる。スライドなどヴィジュアルを使った技術を磨く。
5勉強会で発表(講義)の場数を重ねる。
6テキストに沿って自分なりの具体例を落とし込んでいく。
7テキストを自分なりに再構成する。

▼自分はどんな練習をすればいいのか?

◎外郎売りを年間で1,000回は諳んじたい。
1日2.7回。駅からの帰り道で1回、お風呂場で1回、+α
1回5分として5,000分。およそ83時間。およそ3.45日。

◎目標とする話し方に触れて、繰り返しシャドーイングを行う。

▼話し方にとっての体・技・心とは?

体……声の大きさ、歯切れ、滑舌、
技……(デリバリー)目配り、身ぶり手ぶり、間、声の抑揚、スピード、強調、
……(コンテンツ)構成、切り出し、結び、具体例、描写、コンシート話法、サウンドバイト、レペティション、ユーモア、
心……自信、安定感、

▼復習すべきものは何か?

◎教室
※3分スピーチの録音は必ず聴き直し、チェックシートに沿って問題点を洗い出す。チェックシートを作らねば。

◎日常
仕事/プライベート
※意識的な状況、無意識的な状況それぞれメモを残す。

▼観察して取り入れるべきものとは?

◎教室
先生/受講生
※ノートを必ずつける。昨年は受講生の3分スピーチに限定していたが、それ以外の実習や講義まで幅を広げる。コンテンツだけではなくデリバリーを中心にしたい。

◎日常
仕事/プライベート
※まわりの話し方にアンテナを張るクセをつける。コンテンツだけでなくデリバリーにも注目。その話し方の何がよくて何がダメなのか。

◎話のプロ
テレビ/落語
※漫然と見ていたものをどう活かすか? まだ答えは出ていない。


実は、その年の初めに読む本というのは自分なりのこだわりがあり、非日常の世界に浸れる文芸やノンフィクションを選んでいた。
実用書を読むなんてことは毛頭なかったけど、いつものように読みっぱなしにするのではなく、少し考え続ける時間が持てるという意味でも歓迎すべきことだった。
『采配』を通して特に、話し方にとっての体・技・心を意識できたこと、復習の大切さを再発見したことは今年の大切な下地になるにちがいない。

2012年1月1日日曜日

采配_メモ

今年の初読書は、落合博満著『采配』だった。
以下、箇条書きメモ。

自分だけができるつもりになるのではなく、誰が見ても試合でできると思えるレベルまで、自分のパフォーマンスの質を高めていくしかない。

自分はどんな練習をすればいいのか考え抜くことが大切。

体・技の順序で強くなれば、心もタフになっていく。技術を身につければ自信ができる。

一つの技術の習得は、地味に根気よくコツコツとアナログで身につけていくもの。

自分は不器用だと自覚している人ほどしっかりと復習するもの。

予習よりも徹底的な復習を。

達成不可能なぐらいの目標がちょうどいい。

他のすべてを忘れて没頭できる力。

どんな些細なことでも言ってくれるアドバイザー。

普段の練習でできないことは、どんなに頑張っても実戦ではできない。

できないことをできるようになるまで努力し、できるようになったらその確率を高める工夫をし、高い確率でできることはその質をさらに高めていく。

何も反省せずに失敗を繰り返すことは論外だが、失敗を引きずって無難なプレーしかしなくなることも成長の妨げになる。

組織を総括する立場になった者は、まず部下たちに「こうすればいいんだ」という方法論を示し、それで部下を動かしながら「やればできるんだ」という成果を見せてやることが大切。

やればできると実感したら、実力以上のものを出そうとするな。できる範囲で一番いいものを出す。そして、できる範囲を広げていく。

好きにやることには責任が伴う。

現場に足を運ぶのは謙虚な姿勢。

謙虚な姿勢を持ち、仲間、ライバル、同業他社が何かに取り組もうとしている際には、深い関心を寄せながら観察してみるべきだ。

組織に必要なのはチームリーダーではなく、個々の自立心と競争心、そこから生まれる闘志。

どんな世界でもその中で仕事をするのなら、その世界や組織の成り立ちから謙虚に学ぶ。

最も大切なのは問題が起こった原因を徹底的に調査し、二度と同じようなことが怒らないようにするにはどうすべきかを考えておくこと。

自分がリーダーになった組織は何を目指し、そこまでどういうプロセスで到達しようと考えているか。